トルク・回転測定器

トルク・回転測定器

トルク測定器や回転測定器はその名の通り、トルクや回転数を測定するための装置です。単純な計測器のように思えるかもしれませんが、実は我々の身近なものに使われており、便利で安全な生活を守っています。本ページではトルク計測器や回転測定器とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介していますので製品の選定にお役立てください。

トルク・回転測定器とは

まずはトルク・回転測定器がどのようなものか解説します。

回転力・ねじり力・ひねり力を測定するトルク測定器

トルク測定器とはトルク計あるいはトルクゲージとも呼ばれ、その名の通りトルクを測定するための装置です。

トルクは回転軸を中心に働く力のモーメントのことであり、回転力・ねじり力・ひねり力のことを指します。

身近なところではペットボトルの蓋を開けるために必要な力やネジやボルトの締め付けや緩めに必要な力の測定に使われ、さらに機械や建物の部品のねじり剛性を測定するためにも利用可能です。

トルク測定器の原理

トルク測定器には接触式のものと非接触式のものがあります。

接触式のなかでかんたんなものは、トルク計測器を回転させたときの力をバネなどで受け止め、その反発力を数値として表示するものです。接触式の場合、測定器そのものが回転の抵抗になるという問題があります。

一方、非接触式はその名の通り回転する物体に触れることなくそのトルクを測定するためのものです。方式としては光学式と磁歪式などがあり、用途に応じて使い分けられています。

回転速度を測定する回転測定器

回転測定器はタコメーターや回転計とも呼ばれる、物体の回転速度を測定するためのものです。

たとえば車のエンジンなどの内燃機関、モーター、発電機、冷凍機など、さまざまな用途で使われています。身近なのは自動車のダッシュパネルにあるエンジンの回転数を表示するためのタコメーターでしょう。

回転測定器の原理

回転測定器にも大きく分けて接触式のものと非接触式のものがあります。

接触式のものは単純に回転する軸に取り付け、歯車を使って単位時間あたりの回転数を計測するものです。こちらの場合、回転数が非常に速いものを測定する場合には危険を伴う場合があります。

一方非接触式は光や磁力、センサーを利用して測定するもので、高速回転する物体を測定する場合でも安全です。

また、接触・非接触両用の回転計も存在します。

トルク・回転測定器の種類

トルク測定器や回転測定器の種類を解説します。

トルク測定器の種類

機械式

単純な方式といえるのが、バネを使って測定する方式のトルク測定器です。測定対象の力をバネで受け止め、その反発力を数値として表示します。

この方式の場合、バネを変化させないと数値として読み取れないため、測定対象物がある程度回転しないと測定できないという欠点があります。

ひずみゲージ式

ひずみゲージ式は、物体の歪みによって生じる抵抗値の変化を読み取ることでトルクを計測する方式です。

抵抗値は微量な変形に対して敏感に変わるため、測定のために物体が大きく回転する必要が
ありません。

また、精度や安定度に優れ、耐久性が高いのも特徴です。

光学式

上で紹介した2つの方式が接触式なのに対し、光学式は非接触でトルクを測定できます。これにより測定器自身が回転する力を妨げることがありません。

光学式は、回転スピードに対してトルクの負荷による軸のねじれにより遅れる信号を検出することでトルクを測定します。光学センサーがあればよいので測定器自体がコンパクトなのもメリットです。

磁歪式

磁歪式も非接触の方式で、回転軸に取り付けられたコイルが発する交流信号をトルクに置き換えます。

高速回転に対応可能であり、広く利用されている方式ですが、精度面や安定したデータ取得の面が難しく、測定器が大きくなりがちなのが難点です。

静電容量式

静電容量式は、静電容量の変化を利用してトルクを検出するものです。

構造がシンプルなのが特徴で、コストを削減したり形状の自由度が高かったりという特徴があります。

回転測定器の種類

接触式

接触式の回転計は、回転軸を直接受け止め、歯車によって単位時間あたりの回転数を測定するものです。

原理がかんたんで使いやすいのが特徴であり、近年、ハンディタイプで精度よく測定できるものが多く販売されています。

一方、高速に回転する軸を測定する場合には大きな力がかかるため、危険を伴うことがあるのがデメリットです。

非接触式

非接触式の場合、軸に触れることなく光や磁力、各種センサーを使って回転速度を測定します。

光を使うものは、回転物体の外周面に反射テープを貼り、測定器から出る光に対する反射光をカウントすることで回転数を測定する方式です。

また、スリット入りの円盤を物体につけ、光がそのスリットを通過する回数をカウントするものもあります。

磁力を使う方式の場合、軸を着磁させるか磁石を取り付け、回転によって生じる時速の変化を検出することで回転数を測定します。

接触式・非接触式両用

回転測定器のなかには接触式と非接触式の両方が使える製品が存在します。

このような製品は本体自体は非接触式で回転数を測定し、これに変換アダプタを取り付けることで接触式としても利用可能です。

1台でより幅広い用途に使用できるでしょう。

振動や騒音から回転数を推定する方式

近年新たに、振動や騒音から回転数を推定する方式が登場しています。

これは物体の回転に伴う振動や騒音を測定し、FFTにかけることで周波数成分を取りだし、回転数を推定するというものです。

すでに製品に組み込まれたモーターの場合、接触式や非接触式の場合は分解しないと測定ができませんが、振動や騒音から推定する方式なら組み込まれたままで測定できます。

振動や音を検知するセンサーとFFT演算ができる装置があればよいので、ハンディタイプの製品も存在します。また、モーターの立ち上がりや立ち下がりなどの急激な回転数の変化にも追従可能です。

トルク・回転測定器のメリット

トルク測定器や回転測定器を利用するメリットを解説します。

人が使いやすい製品作りに役立つ

人の生活のなかで、何かをねじったり回したりといった動作はよくおこなわれます。

たとえばペットボトルやドレッシング、瓶詰めの蓋を開ける、鍵をかけたり開けたりする、口紅やリップクリームを繰り出す、オーディオ機器のボリュームを調整するなど枚挙にいとまがありません。

あまりにも回すのに強い力が必要であったり、逆にほんの少し触れただけで回ってしまったりすると人はストレスを感じます。場合によっては製品選択の重要な要素と判断されることもあるでしょう。

トルク計を使って製品設計をおこなうことで、多くの方々がストレスなく使える製品を作れる上、売り上げアップにつながるかもしれません。

安全性向上に寄与する

回転計はタイヤや車輪を回して走行する車や電車の安全走行に欠かせません。スピードの出し過ぎは事故につながるため、必ず制限速度を守って走る必要がありますが、回転計がなければ車内から速度を定量的に測定するのは難しいでしょう。

また、ブレーキによって車輪がロックするのを防ぐABS(アンチロック・ブレーキ・システム)にも回転計は使われています。

タイヤがロックすると制御不能になり、追突や横滑り、横転が起こる可能性があるため、ABSはブレーキをかけているときの車輪の回転数を測定し、回転数が走行速度に比べて低い場合にブレーキを緩めます。これにより急ブレーキをかけつつ車のコントロールが可能です。

活用事例

モータのトルクむら測定に

現在使用されてるモータのほとんどは、「トルクむら」と呼ばれる問題を抱えています。それにともない高効率化が妨げられると同時に、振動・騒音を発生させる原因となっています。これらをなくすべくトルク測定を行う必要があるのです。特に自動車業界では使用される温度環境下で行う必要があるため、恒温槽内で測定することがあります。モータと測定器の間のカップリングをねじりや遅れなどがおきないよう、できるだけ短くするなどの問題点を解決しながら行う必要があります。

DCモータの評価に

DCモータは様々な分野で使用されていて、近年では脱化石燃料の影響で電気自動車(EV車)の開発が多くなっています。そのEV車はDCモータを利用していて、より正確な速度計測が重要となっています。DCモータの回転速度測定をFFT演算機能付きハンディタコメータ(手持ち測定可能な回転測定器)を使用して行うことが可能です。電磁誘導方式の検出器をDCモータと垂直に取り付け、DCモータからの漏洩磁束を検出し、FFT演算機能で周波数分析を行い、回転速度を求めます。アナログ出力付きのモデルを使用することで、波形を確認したり、記録計に転送したりすることで回転速度の変化を観測することが可能です。

ロータリエンコーダによる回転変位や角度、速度の測定に

ロータリーエンコーダは機械的な回転変位(アナログ量)を、電気的なパルス(ディジタル量)に変換する検出器です。機械装置の角度、位置、速度などの測定や回転量の制御、モータの回転速度などいろいろな分野で使用されています。使用目的に合わせて、一般工業用から耐熱、防爆等の特殊用途用やスペースを必要としない小型タイプまでさまざまです。 応用機器としては、ベルトコンベアなどの移動距離や速度を測定するローラエンコーダもあります。

質問集

トルクの表示単位はいろいろありますか?

計量法の改正によりkgfm単位系から Nm単位系に変わりました。そのためkgfm単位系ではなく、Nm単位系での表示の測定器が販売されています。しかし、昔ながらのkgfm単位系で確認したい場合があるため、以下のような計算式で求めてください。
(Nm単位系のFactor)÷0.9807=(kgfm単位系のFactor)
数値を入力するだけで簡単に求められるようになってるトルク測定器メーカのHPもあります。

非接触で測定できる回転計はありますか?

接触式タイプで高速に回転する機器の測定は大変危険です。巻き込まれや、接触子のはずれなどに、細心の注意を払う必要があります。そこで非接触タイプの回転計があります。被測定物に反射マークと呼ばれるシールを貼り付けて測定します。反射マーク式は高速回転の測定には対応していないので、電磁式のセンサを用いた測定器があります。歯科用回転体や繊維機械の仮撚機のスピンドルの他、工作機械のドリル/エミンドルの高速化やモータ自身の回転速度が高速化したことで広く採用されています。ドリルの歯などはその形状(凹凸)から、一般の回転機械では着磁することにより測定可能となっています。

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