寸法測定器

寸法測定器

正確なものづくりには、正確な寸法測定が欠かせません。そのためにさまざまな寸法測定器が開発され、用途ごとに使い分けられています。また、ものづくりだけでなく、文化遺産の保護や観光での利用にも活用されるなど、応用範囲が広い測定器といえます。本ページでは寸法測定器とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介していますので製品の選定にお役立てください。

寸法測定器とは

まずは寸法測定器がどのようなものなのか解説します。

物体の寸法を測定するための器具や機械

寸法測定器はその名の通り、物体の寸法を測定するためのものです。

最も身近なものは定規やノギスでしょう。これらは対象物の長さや厚さ、直径などを測定するためのものです。

平たくて凹凸がなく、大きさがある程度の範囲のものであればこれらで十分測定できます。

三次元の巨大な物体を測定する方法も

しかしながら、測定対象物は常に平たいものとは限らず、巨大なものから小さいものまで大きさも多種多様です。

たとえば巨大な建築物であるピラミッドをノギスや定規で測定しようと思うと時間的にも限界がありますし、風化などで崩れた場所などは測定が困難でしょう。

そこで2013年には画像を使った寸法測定がおこなわれました。このときはピラミッドをさまざまな方向から撮影した大量の画像を用意し、それらからStructure from Motionという技術を用いて三次元構造を復元しています。

また、2015年からは宇宙から降り注ぐ素粒子であるミューオンを利用して計測がおこなわれました。ミューオンは貫通力が高いため、X線と同じように内部構造を明らかにできます。

小さい物体は顕微鏡で測定

一方、小さい物体は顕微鏡を使って測定可能です。

測定顕微鏡と呼ばれるこの装置は、平らな物体はもちろん、物体の高さについてもオートフォーカス機能の応用により検出可能です。

レーザーがよく用いられる

最近は物体の寸法測定にレーザーがよく用いられます。

レーザーは非接触で測定ができるため、柔らかいものでも測定でき、測定対象物を傷つける心配がありません。

針を使ったものに比べ、針交換のコストが必要ないのもメリットの1つです。

また、技術的にも接触式のものと同程度の精度が実現できるようになっており、広く使われています。

寸法測定器の種類

代表的な寸法測定器を解説します。

測定顕微鏡

測定顕微鏡は、対象物を顕微鏡によって拡大することにより測定する装置です。

顕微鏡には基準線が設けられており、ここに物体の影をあわせることで寸法の測定ができます。

また、最近の測定顕微鏡は前述のように物体の高さも測定できたり、ステージに物体を置いてボタンを押すだけで測定できたりするなど、機能向上がはかられています。

投影機

投影機はOHP(オーバーヘッドプロジェクター)のように、物体をステージに乗せて下から光を当てることで、その輪郭をスクリーンに投影するものです。

スクリーンが本体に固定されていることから倍率が決まっており、投影された影の大きさを計測することで寸法が測定できます。

測定顕微鏡のように接眼レンズをのぞく必要がなく、複数の人から同時に観察できる点がメリットです。また、非接触式なので柔らかいものでもゆがませずに測定できます。

画像寸法測定器

画像寸法測定器は、画像を入力することによってその寸法を測定するものです。

イメージセンサーによって物体を撮影する際、イメージセンサーと物体の距離を固定すると1画素あたりに写るものの大きさが決まります。そして、コンピュータ処理によって画像から物体を検出することにより、その大きさを測定する仕組みです。

製品によっては位置あわせの必要がなく、物体をステージにおいてボタンを押すだけで測定ができるものもあります(CNC画像測定器)。

また、0.1μm単位の高精度な測定も可能です。

非接触で測定できることも、柔らかい物体を測定する際のメリットといえるでしょう。

レーザー変位計

レーザー変位計は三角測量の原理を利用して測定をおこなう機器です。物体に対してレーザーを当て、その反射光を測定します。

反射光を測定するセンサーは斜めに取り付けられており、物体の高さ(厚み)が変わるとセンサーに反射光が当たる位置が変わり、それにより対処物の高さを測定できる仕組みです。

三角測量方式以外には共焦点方式があり、こちらは高さの変化によって反射光のピントが合う位置がずれることを利用して高さを測定します。また、分光干渉方式という、光の干渉を利用した方式も存在。

さらには高さだけでなく二次元/三次元の測定ができるものがあるなど、さまざまな種類が存在する寸法測定器です。

輪郭形状測定器

輪郭形状測定器は、針で物体の表面をなぞることでその輪郭を測定するための装置です。

精度よく形状を測定できますが、柔らかいものは扱えないのと、針が消耗品である点がデメリットです。

針ではなくレーザーを利用して輪郭形状を測定するものもあります。こちらは非接触型なので柔らかい物体に対しても利用可能ですが、ほこりが舞う環境では測定ミスが発生するため、清浄な環境が必要です。

三次元測定器

三次元測定器は輪郭だけでなく、物体の三次元的な形状を測定できる装置です。

原理としては輪郭形状測定器と同じく、針やレーザーを使って物体全体の高さを測定することで形状を求めます。

測定した結果はコンピュータ上で立体的に表示することが可能です。

レーザー方式は針方式よりも精度が悪いといわれていましたが、最近は技術の発達により同程度の精度で測定できます。

レーザートラッカー

レーザートラッカーもレーザーを使った寸法測定器ですが、比較的大きな物体の測定に対応している点が特徴です。

使い方はまず、リフレクターと呼ばれるターゲットを測定対象物に接触させます。そして、レーザートラッカー本体から照射されたレーザーがこのリフレクターで反射され、その反射光を測定することで測定するというものです。

一般的な三次元測定器は数m程度の大きさまでしか対応できないのに対し、レーザートラッカーは10m以上のものにも対応できます。

ドローンとStructure from Motionによる測定

冒頭で解説したピラミッドの測定では、ドローンとStructure from Motionによる測定がおこなわれました。

あまりにも巨大すぎて自動的な測定は難しく、人による手動の測定も困難なピラミッドですが、この方法ではドローンを使ってあらゆる角度から大量の写真を撮影できます。

そして、それらの画像をStructure from Motionと呼ばれるアルゴリズムにかけます。これは視点の異なる複数の画像から、被写体の三次元形状(およびカメラが各画像を撮影した位置)を復元するというものです。

この手法を使えばピラミッドのように巨大な物体が測定できるほか、画像を利用するため色がついた状態で物体の立体構造を復元できます。

表面粗さ測定器

表面粗さ測定器は粗さ計とも呼ばれ、物体の大きさではなく表面の平滑具合を測定するための装置です。

こちらも針を使用する接触式と、レーザーなどを使用する非接触式があります。

物体表面の微小な凹凸を測定できるため、製品の仕上がり確認や、製品の劣化や摩耗による表面状態を測定し不具合の原因究明などに使用可能。

また、医療の分野では血液や細菌を拭き取れるよう、製品表面のなめらかさが重要です。要件が数値的に定義されているため、表面粗さ測定器の利用は必須といえます。

寸法測定器のメリット

寸法測定器を利用するメリットを解説します。

製品の仕上がりを確認できる

寸法測定器を利用すると、できあがった製品が仕様通り作られているか確認できます。

寸法測定器によっては高精度かつ自動で測定できるものもありますので、設計図やCADデータと比べることで自動的に出荷検査をすることも可能でしょう。

製品の全数検査が難しくても、ロットごとの抜き取り検査に利用したり、部品単位の検査に利用したりすることもできます。

部品から図面を作成できる

高精度な寸法測定器を使うと、部品から図面を作成できます。

これにより製造元が製造をやめた部品を新たに作ることが可能です。

また、競合他社の製品を解析する際にも、細かい寸法を取得できるため、より再現性の高い解析ができます。

文化遺産をデータとして残せる

地球上には数多くの文化遺産がありますが、それらはいずれ経年劣化や風化によりその形を変えてしまいます。また、戦争や紛争により破壊されることもあるでしょう。

文化遺産を寸法測定器によって精度よく測定することで、その姿を後世へと伝えることができます。

また、三次元形状を測定しVRコンテンツ化することで、観光資源としても利用可能です。実際、日本でも京都にある仁和寺の普段は非公開の「金堂」、「観音堂」、「五重塔」をVRコンテンツにすることで、いつでも誰でも見られるようにしています。

現実に近いメタバースの実現にも、精度のよい寸法測定器はこれからも求められていくことでしょう。

活用事例

レーザ面内速度計を利用した、動いている物体の距離測定

レーザ面内速度計であれば、移動物体、回転体の移動距離・長さ、速度・速度ムラを高感度・高応答で検出できます。非接触での検出が可能なため、今まで測定が困難であった場所でも容易に設置、計測を行えます。検出部位が明確に確認できるため、位置決めが簡単。レーザスポットが小さく、糸やワイヤー、狭い部位の計測ができるほか、スリップや摩擦が生じないなどの特長があります。

デジタルカメラで撮影した画像から三次元計測

最新の写真計測ソフトでは、ドローンなどを使って撮影した多くの画像から3D点群を作成し、立体メッシュを作成可能です。これまでレーザースキャナーを用いて作成していた3D点群でしたが、画像だけで行えるようになりました。このように自動計算したカメラ情報をソフトに読み込むだけで、これまで必要だった基準プレートを画像に取り込む作業がなくなり、格段に便利になったのです。

ポータブル三次元測定アームを活用して生産性を向上

ポータブル三次元測定アームは実用性を考慮して設計されているため様々な産業環境で測定が可能で、生産性の向上に貢献します。必要な場所に測定結果を表示する柔軟性や作業を中断して校正せずにスキャナー・プローブを交換できる柔軟性、製品ラインアップの柔軟性などの生産性向上が可能です。6軸や7軸など多関節モデルがラインナップされており、作業がしやすくいのも特徴です。

質問集

静電容量式厚さ計・変位計の測定原理とは?

静電容量式厚さ計・変位計は、センサと測定対象物との間の静電容量を測り、距離を計算しています。測定する静電容量とはコンデンサと同じ構造で、絶縁された導体間に電荷を貯める能力のことです。

非破壊で内部の寸法測定をしたい

X線CTを活用した非破壊の寸法測定装置があります。測定対象物は、樹脂、ゴム、単一金属(アルミ、鉄など)、複合品など幅広い材質に対応しています。自動車部品関連を中心に、幅広い分野の開発部門、試作部門、工場での抜き取り検査、品質保証部門で採用されています。

マイクロスコープで観察中に寸法測定したい

高機能のマイクロスコープなら測定機能があるため、長さだけでなく、面積、半径や角度などの2D計測、対象物表面の高低差、粗さ (Ra、Rz、Rzjis)や体積 などの 3D 計測もできます。測定方法は、画像上の計測したいポイントにスライサを合わせるだけの簡単な作業です。また、計測した画像や計測結果はExcel転送機能で、簡単にExcel でのレポート作成に移行できるようになっています。

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