記録計・データロガー

メモリハイコーダ、データロガー、データレコーダ

さまざまなデータを長期間取得することができる記録計・データロガーは、研究開発を始め活躍の場が多い計測機器です。その機能は進化を続けており、無線LANやインターネット接続に対応するものがあるなど、以前に比べて便利に使えるようになりました。そんな記録計・データロガーについて解説します。

記録計・データロガーとは?

記録計とはデータロガーとも呼ばれ、入力された信号を記録するための装置です。

記録計・データロガーの歴史

記録計は元々、紙に数値の推移を記録するものでした。ペンレコーダーとも呼ばれるこのタイプの記録計はゼンマイで紙を送り、そこにペンでデータの推移を記録していきます。ゼンマイ式の記録計は電源がないところでも動作するというメリットがあり、今でも美術館や博物館で見かけることがあるでしょう。

その後、デジタルデータとして数値を記録するものが登場し、最近ではインターネットを介して自動的にデータをサーバーなどに送る機能をもつものが出てきています。

記録計・データロガーのアプリケーション

記録計・データロガーはさまざまな場所で活躍しています。地震が多い日本において身近なのは地震を記録する震度計でしょう。

また、病院やビルなどでは温度や湿度に加え、二酸化炭素レベルなどの測定が義務付けられています。最近では新型コロナウイルス流行による換気推奨により、個人店レベルでも二酸化炭素レベルを記録しているところが少なくありません。

ワクチンや医薬品については製造、包装、保管、輸送の間、一定の温度に保つことが義務付けられています。

スマホに搭載されているGPS機能も一種の記録計・データロガーであり、この機能を使ったポケモンGOなどのゲームをプレイしたことがある方も多いでしょう。

PCによる解析が充実

最近の記録計・データロガーはPCとの親和性が高いものが多いです。USBケーブルでPCと接続することにより、記録されたデータを波形として見たり、過去のデータと比較したり、FFTなどを実行して解析したりといったことがおこなえます。

USBケーブル以外に無線LANを使ってワイヤレスで連携できるものもあり、そのようなものを使えば計測器・データロガーの近くにPCがなくてもデータを取得・解析可能です。

測定精度やサンプリング速度はまちまち

各記録計・データロガーの測定精度やサンプリング速度は製品によってまちまちです。精度が高いものやサンプリング速度が高速なものは高価になる傾向にあるため、用途にあった精度のものを選んでください。

オシロスコープとの違い

同じように入力信号の記録を取るための機器として、オシロスコープがあります。記録計・データロガーとオシロスコープの違いは、対象としている信号の周波数です。

オシロスコープは高周波の信号を扱うことができ、その周波数は数十GHzになることもあります。これに対し記録計・データロガーが測定対象としている信号はせいぜい数Hzです。

また、オシロスコープが主に電子回路の測定を目的に使われるのに対し、記録計・データロガーは先述の通り温度、圧力、位置など、さまざまな用途に使われます。

記録計・データロガーの種類

記録計・データロガーと一口にいってもさまざまな種類のものが存在します。まずはその種類について解説しましょう。

測定結果を紙に記録する記録計・データロガー

記録計・データロガーには、大きく分けて紙に直接記録するものとデジタルデータとして記録するものがあります。

紙に記録するもののなかには電源が不要なものがあり、使う場所を選びません。また、記録したデータをすぐに見られるという利点があります。

ただ、デジタル方式に比べると精度が低く、記録したデータの解析がやりづらいというのが欠点です。

測定結果をデジタルで記録する記録計・データロガー

デジタルデータとして記録するものは精度が高く、PCなどで解析をおこないやすいため、現在では主流となっています。

デジタルデータとして記録するタイプの製品のなかにはプリンタを内蔵し紙として出力できるものや、タッチパネル搭載のものがあり、そのようなものであれば紙に近い感覚で直感的に使うことが可能です。

記録計・データロガーが扱うデータの種類

記録計・データロガーが扱うデータの種類は膨大です。温度、湿度、電圧、電流といった昔ながらのものはもちろん、加速度や傾き、音量、水位、震度、光量、GPSによる位置データなど、記録できないものはないといって良いほど豊富な種類のデータを扱えます。

また、人間が立ち入れない場所のデータを取得するために使われることもあり、特に研究開発においてなくてはならない存在です。

センサー内蔵型と外付け型

記録計・データロガーには、センサーを内蔵したタイプと、外付けするタイプのものがあります。

センサー内蔵型の製品には手軽なものが多く、小型で扱いやすいのが特徴です。最近ではスマホと連携できる個人向けの製品もあります。このタイプの製品は測定できる信号の種類が固定で、さまざまな用途で汎用的に使えません。

外付け型の製品はセンサーを交換することによってさまざまな用途に使えるのが特徴です。多チャネル入力を備えているものもあり、そのような製品であれば異なる種類のデータを同時に取得できます。また、データ解析機能が充実しているものもあるため、本格的な研究開発に利用できるでしょう。

記録計・データロガーのメリット

記録計・データロガーを利用するメリットについて解説します。

長期にわたって連続的に数値を記録できる

記録計・データロガーが対象とする信号の周波数はせいぜい数百Hzです。このため、長期間記録を続けてもデータ量が小さくすみ、データをPCに移してデータ量を減らすなどのメンテナンスを頻繁におこなう必要がありません。

また、オシロスコープなどに比べると消費電力が少なく、バッテリーで駆動できる機器もあります。このため、電源が確保できない場所での測定も可能ですし、停電が起こった場合でもバックアップ電源で記録し続けられるでしょう。

小型で持ち運びやすい製品も

記録計・データロガーのなかには小型軽量の製品もあります。このような製品を使えば外に持ち出しやすく、バッテリーで動作すれば測定する場所を選びません。

また、小型軽量の記録計・データロガーであれば測定ポイントを変えることも簡単ですので、実験室や工場などに導入する数を減らせます。

複数信号を同時計測できる製品なら相関関係や比較が簡単

記録計・データロガーが記録できる入力信号は1つだけではありません。製品によっては複数の測定ができるものもあり、なかには100以上の入力チャネルをもっているものもあります。

このような製品を使うことで、異なる入力を同時に記録してその相関関係を調べたり、異なる場所のデータを比較したりといったことが簡単にできるでしょう。

解析機能付きなら後処理いらず

記録計・データロガーは入力をそのまま記録するものばかりではありません。製品によってはFFTが実行できたり、チャネル間の演算がおこなえたりするものもあります。

また、記録したデータに対して平均値、ピーク値、最大値、最小値といった統計を取る機能があるものもあり、わざわざデータをパソコンに移して後処理をおこなうことなくデータ解析をおこなうことが可能です。

無線LANでの連携で多地点同時計測

無線LANに対応した記録計・データロガーを使うと、計測したデータをPCやサーバーに直接送れます。わざわざUSBメモリやSDカードといったストレージからデータを取り出さなくて良いため、省力化につながるでしょう。

また、サーバーにデータを送り、記録したデータを自動的に解析することも可能です。

記録計・データロガーのなかには無線LANで子機を接続できるものもあります。複数地点を計測するのにケーブルを介す必要がなく、手軽に設置可能です。


無線LANでの連携で多地点同時計測

活用事例

モータの評価に活用

温度、回転数、トルクなど異なった種類のデータを1台のデータロガーに収録可能です。測定箇所が多い場合でも複数台スタックすることで対応可能な機種もあります。なかには、モータを取り付けているシャシーに固定された加速度センサーを直接入力できるチャージユニットを用意している機種もあり、振動測定も可能。高速波形演算・ロングメモリを装備した機種による電⼒変動測定も行えます。また、複数個のモータを一斉に稼働させ、LANやUSBメモリ経由で様々なデータをPCに収録することで、耐久試験などにも対応可能です。

CANバスに流れるデータを丸取り可能

CAN・CAN FD測定機能を搭載したレコーダと他社のCAN解析システムを併用して、CANバス(通信線)に流れるデータすべてを収録可能です。CAN解析システムの入力端子(Dsub 9pin)に接続するだけで簡単に使用できるようになっています。また、非接触CANセンサが開発され、それを使用することでCANケーブルを加工したり、サブハーネスを使用したりする必要がなく、CANデータを被覆の上から即座に取得できるようになりました。車両のケーブルを加工しないため、試験車両(被測定物)に品質面で悪影響を与えることもありません。車両の試験で要求される-40℃~85℃の温度環境でC動作可能となっています。

端子台の無線化で配線工数を大幅に削減可能

温度やひずみの測定では、測定ユニットと測定器本体間を無線LANで通信する、端子台の無線化が行えます。それにともない、ノイズ影響の低減や配線工数の削減が可能になりました。測定においては100本超の本数の熱電対やひずみゲージを使う場合があり、従来の本体に端子台が付属するタイプのデータロガーでは熱電対やひずみゲージを長い距離引き回して端子台に接続しなければなりませんでした。これまでは配線や接続の工数負荷と、長い距離の引き回しにともなうノイズの影響も顕著でしたが、無線化がそれの解消に効果を発揮してくれます。なお、無線ユニットの電源は、バッテリおよびACアダプタで供給できるようになっています。

質問集

熱電対はどう選べばよいですか?

熱電対は、2種類の導体(金属導体)で接合・構成された温度センサです。導体(金属導体)の組み合わせにより、種類を示す記号(タイプ)が決まっていて、種類別に応じてそれぞれ温度と電圧の換算表(熱電対規準熱起電力表)があります。一般的にKタイプとTタイプがよく使用されており、Tの方が高い精度を誇り、Kは幅広い温度範囲を重視する際に選られる傾向にあります。計測器側では、熱電対の種類を設定すると換算表にのっとった温度表示をする機能があります。保護材は、導体である素線を覆う被覆と呼ばれるもので様々な素材があります。耐久性や耐熱性などを考慮して選択しましょう。

ロジック入力とはなんですか?

リレーシーケンス回路の動作タイミングなどを観測したい場合に使用します。信号を入力するとOn/Offの方形波で記録され、オプションのロジック入力用ケーブル(プローブ)を使用することで観測可能です。

輸送中の実振動データを測定できますか?

記録計には、物流の中で荷物が受けた衝撃を数値化し記録することができるものがあります。防水・防塵対策されていてバッテリ内蔵のものもあり記録周期が可変できるため、海外への輸出品がどのような影響を受けたかが明確になります。そのほか、通信機能を備えたものもあり、外部から操作したりデータを取り出したりすることも可能です。

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