疲労・耐久試験機

疲労・耐久試験機

疲労・耐久試験機とは、特定の素材や製品などの対象物に対して外力を加え、どの程度で破壊に至るかを調べる機器のことです。対象物の耐久性能や抗力を調べるために実施されます。

疲労・耐久試験機とは何か、また、そもそも疲労試験、耐久試験は何かについて解説します。疲労・耐久試験機の選び方や利用のメリット、活用事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

疲労・耐久試験機とは

疲労・耐久試験機とは、対象物に対して外力を加え、どの程度で破壊や変形などが見られるかを調べる機器のことです。対象物の耐久性能や寿命、また、外力に対する抗力を調べるために実施されます。

基本的にすべてのものは、外力や環境の変化、時間の変化などにより影響を受けます。いつの間にか疲労を蓄積し、破壊されやすい状態になることも珍しくありません。

例えば、高速移動や重量物の堆積などの繰り返しにより金属は疲労し、強度が徐々に衰えていきます。そのため、飛行機や電車、自動車、クレーンなどの工事車両などは永続的に使用できません。

金属疲労を理解しないまま使い続けていると破壊現象が見られるようになり、人命を損なう重大な事故が発生することがあります。製品や素材の安全性を担保するためにも、疲労・耐久試験機は不可欠なものといえるのです。

疲労・耐久試験とは

疲労・耐久試験とは、対象物に繰り返し外力を与え、破壊や変形などの変化がいつ見られるかを調べる試験です。「疲労試験」「耐久試験」と区別されて呼ばれることもありますが、外力の繰り返しにより変化が見られる時期を調べる試験であることは変わらないため、ここではまとめて「疲労・耐久試験」と称します。

疲労・耐久試験では、対象物の破壊までに何度外力を与える必要があるかについて調べることが一般的です。このとき破壊に至った「繰り返し数」が、対象物の耐久性や強度を示す数値として用いられることがあります。また、対象物が破壊あるいは変形するために必要な「外力の強さ」を、対象物の耐久性の指標とすることもあります。

疲労・耐久試験機の選び方

疲労・耐久試験機は、次のポイントに注目して選びます。

  • 疲労・耐久試験の種類
  • 動作源
  • 対応可能な素材・製品

疲労・耐久試験にはさまざまな種類があります。疲労・耐久試験機が実施したい疲労・耐久試験に対応していることは最低限必要になるでしょう。

また、疲労・耐久試験機の動作源にも注目することが必要です。主な動作源としては、モータと振動、油圧が挙げられます。モータを動作源とする疲労・耐久試験機は試験用途に合わせやすく、大抵の試験に活用できます。一方、振動を動作源とする疲労・耐久試験機は周波数を変更することで試験時間を短縮できるため、短期間に結果を得たいときに活用可能です。

油圧を動作源とする試験機は、高負荷をかける疲労・耐久試験に適しています。また、油圧サーボタイプであれば高周波を試験対象にかけられるため、試験時間の短縮も可能です。

疲労・耐久試験機には、それぞれ対応可能な素材・製品が決まっています。例えば、金属専用のものやプラスチックをメインとするものなどに分けられていることが一般的です。また、「自動車向け」のように具体的に業界や対象物を指定する疲労・耐久試験機もあるため注意しましょう。

疲労・耐久試験機の種類

疲労・耐久試験機は、試験の内容によっていくつかの種類に分けられます。主な試験機としては次のものが挙げられます。

それぞれの疲労・耐久試験で実施する内容について紹介します。

荷重疲労・耐久試験用機器

荷重疲労・耐久試験とは、試験対象に重さを加える試験です。

試験用機器は荷重制御型と変位制御型があり、使用目的に応じて使い分けます。また、他の引張や曲げなどの異なる種類の負荷と組み合わせられるタイプの荷重疲労・耐久試験用機器もあります。

引張/圧縮疲労・耐久試験用機器

引張/圧縮疲労・耐久試験とは、引張や圧縮、除荷などを対象物に繰り返し実施し、耐久性を調べる試験です。

引張や圧縮、除荷は組み合わせてさらに複雑な負荷として対象物に与えることもあります。局所的に塑性変形が起こる素材・製品に対しては低サイクルで、他の素材・製品に対しては高サイクルで疲労・耐久試験を実施することが一般的です。

曲げ疲労・耐久試験用機器

曲げ疲労・耐久試験とは、試験対象の任意の2箇所を固定し、繰り返し曲げる力を加えて耐久性を調べる試験です。

比較的厚みが少ない板状の素材・製品に対してだけでなく、1点に対して力がかかることもある棒状の素材・製品に対して実施することもあります。また、棒状の素材・製品に曲げ疲労・耐久試験を行うときは、回転させながら曲げる力を加えることもあります。

ねじり疲労・耐久試験用機器

ねじり疲労・耐久試験とは、試験対象を一定の方向にねじる力を加えることで耐久性を調べる試験です。

例えば、常にねじりの力が加わる、エンジンやモータ、タービンなどの耐久性を調べるときに実施されることが多いです。また、回転を伝達するシャフトも、ねじりの力がかかることがあるため、製品化する前にねじり疲労・耐久試験用機器を用いて耐久性を調べます。

熱疲労・耐久試験用機器

熱疲労・耐久試験とは、温度変化により素材・製品がどのような変化を示すのか調べる試験です。

例えば、エンジン周辺の部品やガス機器などは、常に熱にさらされます。熱によって極端に伸び縮みすると、製品の機能を損なうことになりかねません。製品化する前に、熱疲労・耐久試験用機器を活用して熱に対する疲労や耐久性について精査することが必要です。

超音波疲労・耐久試験用機器

超音波疲労・耐久試験とは、超音波によって素材・製品を振動させて耐久性を測る試験です。

微細な振動が加わることで、素材・製品内に疲労が蓄積し、耐久性の低下や変形などの変化が見られることがあります。モータの周辺機器などの常に振動を受ける部材などに超音波疲労・耐久試験を実施し、耐久性を調べておくことが必要です。

疲労・耐久試験機のメリット

疲労・耐久試験機を利用することには、次のメリットがあります。

  • 疲労・耐久試験にかかる人員や労力を削減できる
  • 高品質な製品製造を実現できる
  • 新製品の開発や既存製品の改良を行える

疲労・耐久試験は、素材や製品に負荷を与え続けて変化を調べる試験です。負荷を与え続けるには作業労力もかかります。また、熱や紫外線などの環境による変化を調べる疲労・耐久試験もあり、長大な時間も必要です。

疲労・耐久試験機を活用すれば、一定の環境や負荷を自動的かつ長時間維持することが可能になり、作業労力は大幅に削減できます。また、少ない人員で管理できるため、人件費の削減にもつながります。

疲労・耐久試験機の活用により、試験精度の向上も可能です。対象物の耐久性や寿命をより詳しく調べることで、製品のクオリティを高められます。

また、紹介したように疲労・耐久試験機には多くの種類があり、さまざまな素材や製品のさまざまな環境下での変化を調べることが可能になっています。つまり、疲労・耐久試験機を活用することで、利便性の高い製品、多様なユーザーニーズに応える製品の開発がしやすくなってきたともいえるでしょう。

既存製品の見直しにも、疲労・耐久試験機を活用することが可能です。疲労・耐久試験機の性能は日々向上しているため、既存製品の開発当時には不可能だった疲労・耐久試験が現在においては可能になっている場合もあります。

新たな疲労・耐久試験を既存製品に適用することで、今まで見えなかった課題や改善が必要な部分も見えてくるようになります。ユーザーに安心して使用してもらうためにも、定期的に疲労・耐久試験を実施し、品質を見直すことが不可欠です。

活用事例

パワーサイクル試験機でパワーデバパワーデバイス

パワーサイクル試験と熱解析によって運輸産業、エネルギー産業、⾃動⾞産業、そして、⾵⼒発電タービンなどの再⽣可能エネルギー機器にも使用されているパワーデバイスの寿命試験を通して、製品ライフサイクル全体に通じた性能の測定を行います。熱電対もサーモグラフィーも使わない過渡熱測定装置を内蔵していて、自動かつ定期的に過渡熱測定を行って構造関数を出力し、パワーデバイスがいつ、どれくらい、どこが、劣化したか把握可能です。

必要な時にすぐに利用できる汎用型耐久試験システム

あらゆる製品の信頼性を高めるために、すべてのプロセス(製品の素材から部品、最終製品まで)で利用できる耐久試験システムを提供します。サンプル(被試験体)に課す繰り返し動作として「曲げる」「捻る」「折る」「巻く」「押す引く」「引っ張る」「スライド」の7種類を想定していて、小型:卓上型から大型:自立型、恒温恒湿環境試験機と組み合わせたものまであらゆる試験に対応したシステムを提供しています。

低騒音な万能材料試験機で高精度な試験

リターン速度の高速化により測定効率がアップし、高速サンプリング、低騒音などを実現した万能試験機は、センサと機械をつなぐ計測・制御技術や優れた力センサ技術を元に、試験機の代名詞として多くの研究所・企業で用いられています。また、GUI作成支援ツールVirtualConsolとMATLAB/Simulinkによって、操作性がさらに向上したモデルもあります。

質問集

耐久試験機は、レンタルできますか?

耐久試験環境レンタルラボでレンタルできます。また、「自社製品の耐久性を試験したいけど、適している方法がわからない」「より精度の高い条件で試験できる環境がほしい」といった要望に対して、様々な耐久試験機、耐久試験方法や、耐久試験を行う環境や技術者によるテクニカルサポートといった様々なサービスを提供しています。

小型の衝撃試験機はありますか?

プルダウン方式による衝撃発生システムの採用により、試験機サイズの小型化に成功した小型高性能衝撃試験機があります。「衝撃試験装置を導入したいが設置スペースがない」「手軽に高加速度試験をしたい」といった要望にお応えしました。

高速で含有化学物質の測定ができるものはありますか?

Windows上での計測制御のほか、最大39段で荷重(下側Fz)および偏心判定、ばね定数計算、ばね特性曲線の作成が行えるばね試験機があります。サスペンションスプリングやバルブスプリングなどの高精度な横力、偏心計測が行えます。

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