温度・湿度環境試験機

温度・湿度環境試験機

地球上にはさまざまな気象環境条件を持つ場所があり、製品開発の際は想定されるすべての気象条件下で動作するかどうかテストしなくてはなりません。そのようなテストを手軽におこなうための装置が温度・湿度環境試験機です。人工的にさまざまな気象環境条件を作り出すことで場所や季節、天気に影響されずテストをおこなえます。本ページでは温度・湿度環境試験機とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介しています。製品の選定にお役立てください。

温度・湿度環境試験機とは

まずは温度・湿度環境試験機とはどのようなものなのか解説します。

人が利用する製品は、必ずしも人にとって快適な環境で使われるとは限りません。たとえば赤道直下の暑い地域、北極や南極に近い寒い地域など、人々は気象環境が異なるさまざまな場所に住んでいます。

このため、製品を設計する際は幅広い気象環境条件で動作するようにしなくてはなりません。

一方、製品を設計したりテストしたりする場所が想定されるすべての気象条件を満たしているとは限りませんし、季節や天気、時間によっても気象条件は変わるため常にテストが可能とも限らないでしょう。

そこで、温度・湿度環境試験機を使うことでテストする場所や時間に依存せず、製品が動作を保証するすべての条件でテストすることが可能になります。

温度以外のテストが可能な試験機も

温度環境試験機は温度条件をテストするための装置ですが、温度以外の条件を変更できるものもあります。

詳細は後述しますが、湿度、光、腐食、薬品、真空など、製品の動作に影響を及ぼしたり劣化を促進したりする要因をテストできる装置が存在し、それぞれの製品が使用される環境に合わせて利用可能です。

単に気象環境条件を変化させるだけでなく、そのなかで製品がどのように変化したか測定できる装置もあります。

温度・湿度環境試験機の種類

ここでは温度・湿度環境試験機でテスト可能な気象環境条件をご紹介します。

温度・湿度

温度・湿度環境試験機でテストできる一般的な気象環境条件は、温度と湿度です。

人が暮らす環境は高温から低温、高湿度から低湿度までさまざまですが、電子機器は極端な温度条件下では誤作動を起こす可能性があり、機械も使われている素材の膨張・収縮や潤滑油の粘度変化により想定通り動作しない可能性があります。

電子機器や機械以外でも建築物や医薬品に対応した装置、さらには宇宙という極端な条件で使われる人工衛星のテストに対応した装置もあり、テストする対象に応じた試験機を利用可能です。

温度や湿度を任意に変化させられる装置を使うことで、想定されるすべての気象環境条件下で製品が正しく動作するか、劣化が進まないか確認でき、より信頼性の高い製品作りができるでしょう。

恒温・恒湿

温度・湿度環境試験機のなかには、温度や湿度試験を長期間おこなえるものがあります。

恒温・恒湿試験機と呼ばれるこのような装置を使うことで、長期間過酷な環境にさらされた場合でも製品が想定通りの動作をおこなえるかテストできるでしょう。

単に温度や湿度を長期にわたって維持するだけでなく、膨張率などの変化の状態を測定できるものもあります。

結露

温度や湿度が製品に影響与える要因の1つとして、温度や湿度そのものではなく、それらの変化によって起きる結露が挙げられます。

結露が発生すると電気回路がショートしたりカビが発生したりするかもしれません。

結露サイクル試験機と呼ばれる装置は温度と湿度を急激に変化させて結露状態を意図的に作り出す装置であり、結露発生時の製品への影響をテストできます。

振動・落下衝撃

振動や落下による衝撃も製品の動作に影響を与える可能性があります。

振動や衝撃により機械であれば部品が取れ、電子機器であればハンダづけが剥がれる可能性があるでしょう。さらに、振動や衝撃による影響は温度や湿度によって変わることがあるなど、さまざまな要因を加味してテストしなくてはなりません。

そこで、温度や湿度を変化させるとともに、振動や衝撃を与える試験機が存在しています。このような試験機を利用することで、振動や衝撃への耐久性をより広い条件でテストすることが可能です。

自然界で製品を劣化させる要因として温度や湿度以外に太陽光が挙げられます。太陽光のなかには紫外線が含まれ、変色やひび割れといった劣化を引き起こす可能性があります。

ただ、自然界では昼間しか太陽が出ない上に紫外線の量は季節や場所によっても変わり、天気次第では想定通り試験が進まないかもしれません。

耐候性試験機は人工光を照射してテストをおこなう装置です。キセノンランプ、メタルランプ、カーボンランプといった太陽光に近い波長を持つ光源を使い、太陽光にさらされた製品の劣化を試験します。

また、太陽光よりも紫外線を多く照射することで、短時間で試験を終えることも可能です。

塩分

塩分も製品の劣化を促進する要因の1つです。海あるいは潮風があたる地域で使われる製品の場合、塩分による腐食を考慮して製品を作らなくてはなりません。

また、雪を溶かすために使われる融雪剤にも塩が使われているため、自動車においても塩分対策は重要です。

塩水噴霧試験機はその名の通り塩水を噴霧する装置で、金属やメッキ加工の耐食性を試験できます。

薬品

機械にはさまざまな薬品が使われています。たとえば自動車で利用されるガソリン、軽油、エタノールといった燃料も薬品の一種ですし、各種潤滑油も薬品です。

そこで、製品や部品が薬品にさらされても動作に影響がなく、長期間さらされ続けても問題ない十分な耐久性を持っているか試験しなくてはなりません。

薬品による影響は温度によっても変わるため、温度を変化させながら試験できる装置があります。

オゾン

オゾン層でよく知られるオゾンは大気中にも存在する物質で、強力な酸化作用を有しており、ゴム、プラスチック、塗料、繊維などを劣化させる要因の1つです。

そこでこれらを使用する製品にはJIS規格でオゾンに対する耐候性試験が決められており、長期にわたって大気にさらされても問題ないことを確認しなくてはなりません。

JIS規格では試験時の温度条件についても定められているため、オゾン劣化試験機と呼ばれる装置では一般的に、温度も任意に調節できます。

気圧

気圧は山の上や航空機が飛行する高度では地上よりも低くなるため、低い気圧において航空機の部品やドローン、GPSなどのモバイル機器などが正しく動作するか試験する必要があります。
また、気圧が低い場所では一般的に温度や湿度も地上とは異なるため、それらも同時に変化させなくてはなりません。

このために使われるのが減圧恒温恒湿試験機です。単に低気圧・低温環境での動作試験がおこなえるほか、湿度を変化させることで凍りつきを再現する着氷試験もおこなえます。

さらに、製品を長期間使用した場合の劣化具合を短期間で確認するための加速寿命試験機という装置もあります。

これは大気・温度・湿度を自然界よりも過酷に設定することで劣化を促進し、評価期間を短縮するためのものです。年単位で使われる製品の寿命を確認するのには通常であれば時間がかかりますが、このような装置を使うことで短期間で評価を終えられるでしょう。

温度・湿度環境試験機のメリット

温度・湿度環境試験機を利用するメリットを解説します。

信頼性の高いものづくりが手軽にできる

人が暮らす環境は多種多様であり、製品も多くの人が暮らす環境で問題なく利用できなくてはなりません。

温度・湿度環境試験機を利用することでさまざまな環境を人工的に再現でき、不具合が発生しないかの確認や改善につなげられます。

これにより、わざわざ地球上のすべての環境に製品を持ち込んでテストすることなく、自社内で評価を終えられるでしょう。

評価を短期間で終えられる

製品の気象環境条件に対するテストでは、一時的に過酷な環境にさらされた場合のみではなく、過酷な環境にさらされ続けた場合の評価もおこなわなくてはなりません。

実際の自然環境でそのような評価をおこなう場合、季節や気象の変化によってテストが想定通りに進まず、製品スケジュールに影響を与えることがあるでしょう。

温度・湿度環境試験機のなかには長時間にわたって設定した気象環境条件を維持できるものがあり、そのような評価をスケジュール通りに進められます。

また、わざと想定以上の気象環境条件を与えることで劣化を促進し、製品寿命のテストができる装置も存在しています。

活用事例

試料を直接冷却・加熱し材料試験を効率化

ホースを用いて温度調節(-40℃~+180℃に)した空気を噴射、試料を冷却・加熱する、試験効率化が可能なチャンバーレスシステムがあります。計測機器のほか分析・解析機器や材料試験機などとの組み合わせができる、フレキシブル性の高い装置となっています。また省スペース化も実現しており、万能試験機用恒温槽と比べて奥行方向約3分の1(D:652mm)までコンパクト化されています。

恒温恒湿室にクリーンな環境を

吹出口にフィルタをつけられるオプションが用意された恒温恒湿空調機があります。これを活用すればクリーンエアを供給するため、クリーンルーム同様の効果が得られます。既設装置や設備の更新に、また局所空調を追加したい方に最適です。新規に導入を検討されている方にも好評です。
空冷式、屋外型の冷凍機のため冷却水の用意が不要、排熱の心配がなく室内の空調負荷が低減され、設置場所の自由度が高いというメリットがあります。独自の制御プログラムが設定の温湿度に「加熱・冷却・加湿」を最小出力で運転するため、無駄なエネルギー消費を抑制でき、高い省エネ性を実現しています。

「見られる」「触れる」「乱れない」ドアのない恒温恒湿槽

ドアがなく高精度制御、低風量空間を実現し自由度の高い操作性を可能にした恒温恒湿槽があります。人が環境試験室に入って試験をすると、負荷環境テストにおける身体的ストレスの軽減にもつながります。コネクター通電試験、電子天秤を入れてワーク軽量試験、テープの粘着力評価試験、ボールペン筆記試験などさまざまな評価、開発試験で使用されています。
ドアレスでカメラを恒温恒湿槽の外側に設置可能なため、試験体を直接撮影可能です。また常温環境、Webカメラやスマートフォンでも手軽に撮影できます。

質問集

槽内の状況を無人で監視したい

槽内サンプルを槽内監視カメラを使用して撮影し、継時変化をデータで記録・管理可能です。恒温恒湿器に-40 ℃~+150 ℃の温度帯で挿入・槽内撮影ができ、高湿環境でも曇る心配がありません。暗い槽内を LEDライトで照らし、画像と 温度 /湿度の情報を同期収録 ができます。既存の装置にも取り付け可能です。

無風恒温槽はありませんか?

光学機器・部品用の-30℃~200℃まで温度制御可能な小型の製品があります。従来は槽内で風を循環させる構造上、無視できないレベルの温度ムラが発生していました。しかし無風恒温槽では、風を起こさずに温調する無風空間を実現しています。

卓上サイズの小型クーラーはありませんか?

A4サイズ以下の製品があります。循環液をポンプで循環させることで発熱部の熱を回収、大気中に熱交換器で放熱する仕組みの製品です。レーザーモジュール、LED照明、密閉容器内の発熱部、発熱部直近で放熱できないもの、発熱部直近で風量や騒音が問題になるもの、発熱部周辺の寸法が限られている場合などでの用途に最適です。

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