数万回転の高回転モータに対応し、MATLAB/Simulinkで作成したモデルをリアルタイムに実行できるラピッドプロトタイプコントローラは、ARMコア+FPGAを使った専用ハードウェアによりμsオーダーのシミュレーション周期を実現します。高速な制御演算が必要とされるモータ制御コントローラのプロトタイピングなどに適している製品で、計算精度を保ちつつ、演算速度を大幅に改善し、モータ開発を効率化できます。
MATLAB / HILS
MATLAB(マトラボ、マットラブ)とはMathWorks社が開発した数値解析のソフトウェア、あるいはソフトウェア内で使用するプログラミング言語のことです。一方、HILSとは、ECU(電子制御ユニット)のテスト装置等を指します。
MATLABやHILSとは何か、また、果たす役割について解説します。それぞれを利用するメリットや活用事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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MATLAB/HILSとは
MATLAB(マトラボ、マットラブ)とは、MathWorks社が開発した数値解析ソフトウェアの名称です。この数値解析ソフトウェア内では独自のプログラミング言語が使用されますが、このプログラミング言語もMATLABと呼ばれます。
プログラミング言語として見たMATLABは、単一のソフトウェア内で使用するものでありながらもユーザ数が多く、世界中に300万人を超えるともいわれてきました。実際に、エンジニアやサイエンティストなどの数値計算の専門家が主なユーザであり、データの解析やアルゴリズムの開発などにMATLABを用いています。
一方、HILSとは「Hardware In the Loop Simulator」もしくは「Hardware In the Loop System」の頭文字を合わせた略語で、ECU(Electronics Control Unitの略語、電子制御ユニットとも呼ばれる)のテスト装置のことです。なお、日本ではHILSと呼ばれていますが、世界的にはHIL(Hardware In the Loop)と呼ばれることが一般的です。
HILSはECUが制御する対象となる装置を、コンピュータ内のバーチャルな世界として作り上げ、リアル世界に存在するECUと連携して作動テストを行います。作動テストの結果はコンピュータで表示されるため、ECUの制御対象に損害を与えません。
MATLAB/HILSの種類
MATLABは1つのソフトウェア、あるいはプログラミング言語を指します。そのため、種類はありません。しかし、MATLAB自体は汎用性に優れたソフトウェア・プログラミング言語のため、多くの場面で使用されています。
一方、HILSは特定の装置を指すのではありません。電子制御ユニットに用いるテスト装置であればHILSと呼ばれるため、多種多様なHILSが存在します。
MATLABが使用される場面
MATLABは数値解析に用いるソフトウェアです。数値解析が必要な場面は多く、工学や経済学、理学などの幅広い分野で使用されています。
また、MATLABにはToolboxと呼ばれる拡張パッケージがあり、拡張パッケージを使用することでさらに広い分野で応用することが可能になります。MATLABが使用される主な場面は以下の通りです。
- ディープラーニング
- 情報生命科学
- 制御システム
- データサイエンス
- 画像処理、コンピュータビジョン
- 信号処理
- IoT(Internet of Things:モノのインターネット)
- データの収集から解析、検討、テストの自動化
- ロボティクス
- ミックスドシグナルシステム
- 予知保全
- メカトロニクス
HILSが使用される場面
電子制御システムが使われている場面であれば、電子制御システムをテストするHILSも使用されることが多いです。例えば、家電や電気で作動する車両などは、ほとんどにおいて複数の電子制御システムが使用されているため、HILSを使用してバーチャルな世界で動作確認が実施されている可能性があると考えられます。
HILSが使用されている場面の中でも、特によく知られているのが自動車開発の場面です。自動車には多くの電子制御システムが使用されており、それぞれが正しく機能することで運転手や街の人々の命を守ります。
しかし、すべての電子制御システムのテストをリアルの世界で実施していると、開発費と時間が莫大になり、自動車価格にも影響を及ぼしかねません。バーチャルにテストを実施できるHILSの使用は不可欠といえます。例えば、以下のシステムではHILSを用いて動作テストが実施されています。
- エンジン挙動
- サスペンション制御
- レーダセンサ制御
- 車両ダイナミクス
- モータ
- バッテリ
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MATLAB/HILSのメリット
MATLABやHILSを使用することには、さまざまなメリットがあります。それぞれのソフトウェアやシステムを使用することにはどのようなメリットがあるのか、具体的に説明します。
MATLABを利用するメリット
MATLABは1つのソフトウェアで多様な機能に対応できます。それだけでも十分にメリットがあるといえますが、他にも次のメリットがあります。
計算処理が早い
多くのプログラミング言語の中でも、MATLABは計算処理が早い言語として知られています。動作性が軽やかでストレスが少なく、計算結果をすぐに確認できることも、多くのユーザに使用されている理由の1つといえます。
グラフや図をカスタマイズしやすい
グラフや図を作成できるソフトウェアは多数ありますが、その中でもMATLABはカスタマイズが簡単で、イメージを具現化しやすいほうです。例えば、グラフを3次元化することや変数の範囲を変更すること、複数のグラフを重ねることなども、MATLABならシンプルな設定で実現できます。
開発と実装を同時に実現できる
MATLABは対応する機能が多いため、開発からテスト、実装までをシームレスに対応できます。例えば、ディープラーニング機能を活用してアルゴリズムを開発し、処理プロセスの実装まですべてMATLABで対応することも可能です。
対応可能な計算が多い
MATLABで対応できる計算は種類が多く、Toolboxで機能を追加するとさらに対応可能な計算が増えます。また、MATLABと同じくMathWorks社が開発したSimulinkと連携すると、計算結果のグラフィカル処理が可能になり、さらに開発やテストがしやすい環境を構築できます。
C言語のコード生成が可能
MATLABを利用するためには、言語としてのMATLABも理解しなくてはいけません。基本的には言語としてのMATLABはソフトウェアとしてのMATLABにしか対応していないため、言語としての汎用性は低いといえます。
しかし、MATLABにはC言語とC++のコード生成機能があるため、MATLABを理解するだけで対応可能な言語を増やすことが可能です。プログラミング言語の中でも極めて汎用性の高いC言語、C++の習得のためにも、MATLABは役立ちます。
追加オプションが多い
MATLABはToolboxで機能を追加できます。例えば、Audio Toolboxを追加すると音声分析機能を付加できます。
HILSを利用するメリット
HILSを利用することで、本来であればリアルの世界で実施する必要がある製品テストなどをコンピュータ上で実現できます。また、次のメリットもあります。
システム開発の時間を短縮できる
電子制御システムが作動する対象が完成しなくても、HILSがあればシステムごとに動作テストを行えます。システムの開発と検証を同時並行で進められるため、システムの開発だけでなく、システムを搭載する対象物の開発時間も短縮できます
。
システム検証のコストを削減できる
リアルの世界で検証するときは、対象物が破壊されることもあり、膨大なコストがかかります。しかしHILSならバーチャルで検証できるため、コスト削減にもつながります。
長時間テストを容易に実施できる
HILSなら、コンピュータさえ稼働していればシステムの耐久性確認のための長時間テストを実施し続けることが可能です。また、HILSが自動的に稼働する自動試験環境を構築すれば、ほぼ放置したままでも耐久テストを実現できます。
活用事例
- MATLAB/Simulink対応高速シミュレータでモータ開発を効率化
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- MATLAB対応耐低温リアルタイムシミュレータでECU開発を効率的に
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自動車ECU開発の効率向上を目的に設計した RapidPrototyping プラットフォームは、-20℃ まで動作が可能。小型、軽量設計、48V バッテリーでの動作が可能などの特長をもったMATLAB/Simulinkの各種Blocksetを開発環境で提供したシミュレータです。トラック仕様のECU開発など自動車ECU開発に限らず、バイクやロボット開発などの用途で活用できます。
- ナノ秒オーダーの計算速度を実現した高速モータシミュレータでモータ開発をスピード化
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モータのシミュレーションに特化した高速計算ロジックを新しい大容量FPGAに実装、ソルバーだけでなく周辺回路やCPU を抜本的に見直し、ナノ秒オーダーの計算速度を実現した高速モータシミュレータは、JMAG-RT ファイルのモデルが使用可能なだけでなく、ユーザが独自開発したモータや大容量のモータモデルにも対応しています。そのため、モデルベース開発における再現性の向上や、詳細なシミュレーションに貢献します。
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質問集
- Matlab/Simulinkを用いた受託開発はありますか?
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Matlab/SimulinkやSimulationXといった、各種シミュレーションツールを用いた受託開発・コンサルティング、制御・モデリング・最適化に特化したソリューションを提供する会社があります。電磁気・電気・制御との複合領域シミュレーションの他、振動、音ノイズ、ガタ、衝突等のモデル化ならびに最適化アルゴリズムとの連携も得意としております。
- コンパクトなモータHILSはありますか?
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本体サイズ260mm×190mm×91mmとコンパクトで低価格なため在宅勤務でも使用可能な信号発生器は、PMSMモータの応答を再現するモータシミュレータです。モータの代わりとして、実物のモータコントローラを接続し、信号レベルでの評価ができます。
- 各種モータに対応した駆動インバータはありますか?
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研究開発時の特殊モータ駆動用ドライバとして、量産開発のプリプロト ドライバとしてなど、モータドライブに関するどのようなリクエストにも応えられるオリジナル機能モジュール構成のインバータがあります。MATLAB/Simulinkのシミュレータ用のインバータとしても活用できます。
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