FAコンピュータ

FAコンピュータ

FA(Factory Automation)コンピュータとは、現場で必要とされる機能を搭載したパソコンのことです。形状は通常のパソコン(民生用パソコン:オフィスや家庭で使用するパソコン)と同じですが、搭載されている機能が現場用にカスタマイズされている点が異なります。

FAコンピュータとは何か、また、どのようなシーンで使用されるのかについて解説します。FAコンピュータを利用するメリットや事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

FAコンピュータとは

FA(Factory Automation)コンピュータとは、工場などの現場のニーズに対応したコンピュータのことです。一般的なオフィスや家庭で使用するパソコンとは異なり、FAコンピュータは現場ごとに必要な機能を組み込んでいるため、1つひとつがカスタマイズされています。

例えば、生産ラインの自動化や制御などには、FAコンピュータの使用が一般的です。また、工場以外のさまざまな分野、医療や交通機関、物流などでもFAコンピュータが導入されています。

なお、FAコンピュータには、さまざまな呼び方があります。例えば、産業用コンピュータや工業用コンピュータ、FAパソコン、エンベデッドコンピュータなどもFAコンピュータと同義です。呼び方は異なっても、工場などの現場で用いられること、アプリケーションの組み替えで利用できる場面や機能を変えられることなどは、共通しています。

FAコンピュータの特徴

FAコンピュータには、次の特徴があります。

それぞれの特徴について説明します。

信頼性が高い

FAコンピュータは工場などの現場で使用されることを想定されているため、長時間稼働してもトラブルが生じないように設計されています。

また、FAコンピュータによって操作する機器に誤作動が起こると、製品や検査結果などにも狂いが生じ、企業の信頼性を大きく損ねることになりかねません。誤作動が生じにくく、高い信頼性を保つこともFAコンピュータの特徴です。

安定供給が可能

オフィスや家庭で使用するパソコンとは異なり、工場では機械や制御用コンピュータを頻繁には買い替えません。また、買い替える場合でも、そもそも導入している機器やコンピュータの数が多いため、故障した機器などを部分的(段階的)に買い替えます。

このような事情から、FAコンピュータには、長期間の安定供給が求められます。モデルチェンジをほとんどせず、企業が安心して使い続けられるようにしていることもFAコンピュータの特徴です。

環境の影響を受けにくい

オフィスや家庭で使用するコンピュータは、おおよそ使用される環境が特定されています。暑すぎず寒すぎず、適度な温度と湿度にコントロールされている環境だと考えられるため、コンピュータも一般的な環境下を想定した仕様です。

一方、FAコンピュータは、一般的な環境で使用されるとは限りません。高熱の溶鉱炉の近くや粉塵・振動・電磁波などの影響を受ける場所など、過酷な状況で使用される可能性もあります。そのため、FAコンピュータは環境の影響を受けにくく、ハードな設置状況にも対応した設計になっています。

民生用コンピュータとの違い

民生用コンピュータとは、オフィスや家庭で使用するパソコンのことです。FAコンピュータとは見た目はほとんど変わりませんが、次の3点において異なります。

それぞれの違いについて説明します。

温度条件

民生用コンピュータは、日常生活で使用されるため、過酷な環境下を想定した仕様とはなっていません。メーカーによっても異なりますが、5~35℃程度の環境下であれば、問題なく使用できるようになっていることが多いです。

一方、FAコンピュータは工場などの製造の現場で使用されるため、民生用コンピュータより過酷な環境に耐えられる仕様になっています。コンピュータの種類や使用を想定される現場によっても異なりますが、機器と接続して使用するFAコンピュータなら0~45℃、機器内に組み込むコンピュータなら-20~70℃程度に耐えられることが一般的です。

また、CPUなどの発熱を伴う部品については、放熱機能も組み込まれていますが、ファンの故障による不具合をなくすため、ファンなしで冷却できるタイプなど、過酷な状況下での長期間使用を想定した仕様になっています。

価格

民生用コンピュータは、特定の環境下や用途で使用されることが想定されていないため、大量生産が可能です。部品なども比較的安価なものを搭載し、販売価格を抑えています。

一方、FAコンピュータは専門的な機能が組み込まれているだけでなく、長期間かつ特殊な環境下で使用されることが想定されているため、ハイスペックの部品が用いられています。もちろんハイスペックの部品や特殊な機能を実現するCPUなどは高額なため、民生用コンピュータと比べると価格は高いです。

また、FAコンピュータはオーダーメイドとは限りませんが、基本的には現場に合わせてオリジナルにカスタマイズすることができます。カスタマイズにかかる費用も上乗せされているため、さらに高額になることもあります。

供給期間

メーカーにもよりますが、民生用コンピュータは1年に1~2回ほどモデルチェンジすることもあります。また、細かな仕様が変更されることも多く、買い替え時のモデルが前回のモデルと同じになることは基本的にはありません。

一方、FAコンピュータのモデルチェンジのスパンは、民生用コンピュータと比べると長い傾向にあります。部品や本体の供給期間が10年程度のこともあり、同じモデルに買い替えることも可能です。

FAコンピュータの種類

FAコンピュータが使用される場面としては、次のものが挙げられます。

いくつか例を挙げて紹介します。

製造分野

製造現場でのデータ確認や画像処理、設備制御にFAコンピュータが使用されています。設計から製造、検品までをオートメーション化するには、FAコンピュータは不可欠です。

医療分野

MRIやCT、X線診断装置、超音波診断装置などを使った分析にFAコンピュータが使用されています。また、医療機器内部にも組み込み型のコンピュータが搭載されています。

設備管理

24時間体制で稼働する機器の管理にも、FAコンピュータが使用されています。また、ビルなどの設備管理にも、画像処理やデータ送受信が可能なFAコンピュータが必要です。

交通機関

鉄道システムや高速道路システムの統制・管理には、FAコンピュータが活用されています。また、航空管制システムなどにもFAコンピュータが搭載されています。

物流制御

物流倉庫や搬送車のデータ送受信は、FAコンピュータによって実施されていることが一般的です。FAコンピュータとAIが融合し、無人搬送車を実現している企業もあります。

FAコンピュータのメリット

FAコンピュータを利用することには、次のメリットがあります。

それぞれのメリットについて説明します。

産業用機器を小型化できる

多機能を搭載したFAコンピュータを使用することで、産業用機器の小型化が可能です。省スペースにより、効率性の高い製造・管理を実現します。

維持費・製造費をコストダウンできる

FAコンピュータは民生用コンピュータよりも高価格ですが、耐久性が高く、供給期間も長いため、コストダウンが可能です。また、業務の効率性を高めることで、製造費のコストダウンにもつながります。

耐久性・耐環境性に優れる

FAコンピュータは、過酷な環境下でも利用可能な仕様になっています。長期間の安定稼働が可能なため、買い替えのスパンを長期化できます。

活用事例

産業用エッジAIコンピュータでDXを

NVIDIA® Jetson Xavier NX™ モジュールを搭載する産業用コンピュータは、AI推論処理に適しています。多彩なインターフェースを搭載するほか、柔軟な耐環境性と設置性を可能にしているため、実用アプリケーションに安心して使用可能です。ボックスコンピュータ®のノウハウを随所に活かした高信頼・長寿命設計にもなっています。

要求仕様に柔軟に対応できるFAコンピュータ

様々なOSも取り扱いしていて、筐体も拡張性に優れたミドルタワー型、省スペースなスリム型、省スペースや高性能なミニPCの3タイプから選べます。マザーボードには高品質なコンデンサーを採用するなど、長寿命化を実現し、業務停止リスクを最小限に抑えています。また、部品供給が可能な全期間にわたって長期的な修理サポートも提供しています。

メンテナンスコールPC導入で事業・サービスの継続を支援

メンテナンスコールPCとは、オリジナルのアルゴリズムを搭載し、コンポーネントごとに寿命を予知してアラーム通知するタッチパネルPC、miniBOX PCのことです。環境、利用方法などからコンポーネントごとの寿命を予測、計画的な交換時期を通知することで事業・サービスの継続を支援します。薄型(厚さ39mmの)のため、スクリーン裏や筐体内部などの狭い環境への設置も可能なほか、-2動作温度範囲0~60℃のため、半屋外のような環境にも設置可能です。

質問集

高信頼性の電源はありますか?

高性能・高信頼・低ノイズなどの要求に対応した電源をカスタムで製作してくれます。医療用超音波診断装置で養われたノウハウで、低ノイズ、高信頼設計な上、特殊形状、大容量化、長寿命化などにも対応した提案型仕様決定によるカスタム電源装置です。

防塵対策したタブレットはありますか?

耐衝撃・耐寒性・防塵・防滴の高堅牢タブレットがあります。IP65準拠で、粉塵の多い工場や水濡れが懸念される食品工場で活躍します。-10℃~50℃対応のため、寒冷地や炎天下での業務の他、手袋でも操作可能なタッチパネル搭載なので、手袋で作業する製造ラインでも使用可能です。

車載に対応したコンピュータはありますか?

Intel Atom E3950プロセッサを搭載したA5サイズの薄型コンピュータは、車載での活用に最適なCAN/CANFDポートを標準搭載した機種です。周囲温度:-40℃~+70℃で連続動作可能で、OSのROM化により電源のブチ切りに対応しています。

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