メーカーからCPUモジュールボードを調達することは、実績のあるOS、ドライバが使用できるため、開発期間を短縮できます。モジュールを交換することによりローパフォーマンス(低消費電力)からハイパフォーマンスCPUまで広くサポート可能なほか、筐体・パネルを組み合わせることで、複数の製品を構築できるといったメリットがあります。
CPUボード・Compact PCI
CPUボードとは、CPUを実装した基板のことです。チップの基板実装を目的としたシンプルなものから、パソコンのマザーボードのような大規模なものまで多種多様なCPUボードが存在します。
一方、Compact PCIとは、産業用コンピュータ規格のひとつです。2ピースコネクタを採用し、産業装置として過酷な環境下で稼働する場合でも高い信頼性を期待できます。
CPUボード・Compact PCIとは何か、また、どのような要素から成り立つのかについて解説します。CPUボード・Compact PCIを利用するメリットや事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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CPUボード・Compact PCIとは
CPUボードとは、CPUを実装した基板のことです。チップに基板を実装することを目的とした小規模なものから、パソコンのマザーボードのようにCPUやデバイスを大規模に実装したもの、ファームウェアまで含めたシステム品まで多様な種類があります。
一方、Compact PCIとは、PICMG(PCI Industrial Computers Manufacturers Group)が制定した産業用のコンピュータ規格のひとつです。2ピースコネクタを採用しているため、産業装置ならではの過酷な環境下でも高い信頼性を保ちつつ稼働できます。
なお、Compact PCIは3Uもしくは6Uの筐体に収められていることが一般的です。信号形式は標準で32ビットPCIを持ちますが、J2コネクタと同時に使用することにより、64ビットPCIとして構成されることもあります。
CPUとは
CPUとは「Central Processing Unit」の頭文字をあわせた略語で、日本語では中央演算処理装置と訳されます。コンピュータの周辺機器やソフトウェアによる指示を処理する装置で、メモリの制御も担当します。単にプロセッサと呼ばれるケースも多いです。
CPUはコンピュータの頭脳に相当し、CPUの性能がCPUを搭載しているパソコンやスマートフォンなどのデバイスを左右します。高性能のCPUを搭載していると、デバイスの処理速度が速くなるため、操作性が快適になります。なお、デバイスに搭載されているCPUの性能は、以下のポイントで確認してください。
コア数
コア数が多ければ多いほど、CPUの性能は高く、同時に処理できる作業数が増えます。たとえば6コアのCPUであれば、1コアのCPUが処理できる作業の6倍の作業を同時に処理できます。
スレッド数
スレッドとはCPUが実行する処理の単位のことです。通常は1コア=1スレッドですが、マルチスレッディング機能が搭載されたCPUでは1コア=2スレッドの実行が可能です。
スレッド数が大きく、なおかつコア数が多いCPUであれば、処理能力はさらに高くなります。たとえばマルチスレッディングに対応している場合は、4コア8スレッドや6コア12スレッドとなり、コアが増えたかのような快適な使用感となります。
ただし、実際にコアが増えたわけではないため、同じスレッド数のCPUであればシングルスレッドのほうが高性能です。たとえば4コア8スレッドより8コア8スレッドのほうが高速処理が可能です。
クロック周波数
クロック周波数とは、CPUの処理速度を表す数値で、動作周波数とも呼ばれます。コア数やスレッド数が同じ場合、クロック周波数が大きいCPUのほうが処理速度が速いです。
クロック周波数が大きくなると、消費電力や発熱量も比例して大きくなります。発熱量が多くCPU自体が高い熱を持つと、処理速度が低下するだけでなく、CPUが故障する可能性もあるため要注意です。安全かつ快適にCPU搭載デバイスを使用するためにも、大型の電源を確保する、CPU専用のクーラーを取り付けるなどの対応が必要になります。
メモリ容量
CPUはRAM(メインメモリ)からデータを受け取り、処理を実行します。RAMはCPUよりも動作が遅いため、一時的にCPU内にデータを保存し、高速処理を可能にしています。
そのためCPUのメモリ容量が大きいほど、処理速度は高速です。なお、CPUに内蔵されているメモリをキャッシュと呼ぶため、キャッシュ容量が大きいと表現することもあります。
CPUボード・Compact PCIの種類
CPUボードとCompact PCIの種類について説明します。
CPUボードの種類
メーカーごとにさまざまな種類のCPUボードが販売されています。CPUボードの目的に注目すると、次の4つに分類することが可能です。
それぞれのCPUボードの目的の違いについて説明します。
産業用CPUボード
産業用CPUボードとは、産業用パソコンに搭載されるCPUボードのことです。民生用パソコンに搭載されるCPUボードと比べ、耐久性に優れ、長期間の連続使用に対応できます。また、モデルチェンジのスパンが長く、安定した供給を期待できます。
搭載CPUボード
搭載CPUボードとは、産業用CPUボードのうち、パソコン内に固定されているものを指します。パソコンを組み立てるのではなく、すでに仕上がったデバイスとして購入するときは、「搭載CPUボード」が搭載されているパソコンを選ぶことになります。
組み込み用CPUボード
組み込み用CPUボードとは、組み込み機器の開発支援のために使用されるCPUボードのことです。たとえばファームウェアのデバッグや動作確認を実行するときに、組み込み用CPUボードが利用されます。
組み込み用CPUボードは、パソコンなどのデバイスではなく小型の機器に組み込まれることもあるため、CPUボード自体も小型であることが多いです
バスCPUボード
バスCPUボードとは、バスのシステムコントローラとしての機能も持つCPUボードのことです。製品にもよりますが、クロック数が大きく、メモリ容量も多いため、処理速度に優れている傾向にあります。
Compact PCIの種類
Compact PCIの種類はメーカーごとに異なります。ここでは、Compact PCIの後継規格として誕生したCompact PCI Expressを紹介します。
Compact PCI Express
Compact PCI Expressは、PCIMG2.0のCompact PCIとの互換性を維持しつつ、技術面で有意性を持つCompact PCIです。差動信号用にアドバンスド差動ファブリックコネクタを採用し、高速信号の転送において高い確実性を発揮します。
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CPUボード・Compact PCIのメリット
CPUボードとCompact PCIの利用には、数多くのメリットがあります。それぞれのメリットを紹介します。
CPUボードのメリット
CPUボードを採用することには、次のメリットがあります。
機器開発のコストを削減できる
組み込み用CPUボードであれば、機器に組み込まれることを前提として開発されています。パソコンなどの機器を開発するコストを削減でき、安価な供給が可能になります。
開発までの時間を短縮できる
CPUボードを搭載するだけで、機器の頭脳にあたる部分が完成します。開発までの時間を短縮でき、ユーザーニーズにあう製品をすぐに市場に送り出せます。
Compact PCIのメリット
Compact PCIがあることで、パソコンなどの小型コンピュータの規格がある程度一律になっています。デバイスなどの開発が簡便化するだけでなく、ユーザーにとっても、機種ごとに規格が変わらないことで短時間で使いこなせるというメリットがあります。
活用事例
- CPU周辺の初期開発コストを抑える
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- 既存製品のリプレースを委託して時間削減
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One-Stopソリューションを製品開発から量産まで、提供するサービスがあります。各種マイクロプロセッサーを使用したマイコンボードの開発設計・生産技術をコアに、 数多くの組込みシステムや製品の開発を長年にわたって実施。これらを活用し一貫した体制で、要求通りの組込み用マイコンボードや組込みシステム製品をコンサルティング~設計・開発・製造・保守サービスまで提供します。
- CompactPCI-PCIバスブリッジインタフェースを使用して拡張測
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CompactPCI-PCIバスブリッジインタフェースを使用すると、電源や筐体、バックプレーンを自由に選択できるため、組み込みに最適です。PCIバスバックプレーンと組み合わせることでPCIバススロットを拡張可能だったり、各種OSに対応しておりソフトウェアが変更なしで使用できたりするなどのメリットがあります。
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質問集
- 設置したい場所が特殊形状でも対応は可能ですか?
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限られた空間へ配置したい場合の特殊形状対応が可能な他、不要なインタフェースの未実装、BIOSの初期値変更をしたいなどのカスタマイズ、海外ではなく国内生産の採用など、様々な要求に応えられます。
- CompactPCIとは何ですか?
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CompactPCIとは、PICMG(PCI Industrial Computer Manufactures Group)が制定した産業用コンピュータ規格の1種で、cPCIと表記されることもあります。3Uまたは6Uの筐体に収容され、PICMG規格のコネクタによりバックプレーンで接続されます。過酷な稼働環境においても高い信頼性があります。
- CompactPCIを採用するメリットは何ですか?
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CompactPCIは規格が決まっているため、メンテナンスしやすい、各メーカから各種ボードが標準ボードとして販売されている、PCIボードも使用できる、普通のPCとしても使用できるなどのメリットがあります。