産業用ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボット、農業用ロボット等、多関節のアームを持つロボットは、各関節における回転角度を計算するのに複雑な逆行列計算の構築が必要で、関節の数に比例して多くの計算負荷を要していました。しかし、短い構築時間で各関節の回転角度を算出可能な独自手法を搭載したアプリケーションの受託開発を行っているため、ぜひ活用してみてください。
1Dシミュレーション
1Dシミュレーションとは、物理モデルを用いてシミュレーションを実施する手法のことです。3次元の空間内に存在する形状ではなく、機能や性能などに注目してシミュレーションするため、見通しがよいという特徴があります。
1Dシミュレーションとは何か、また、どのように進めていくのかについて解説します。1Dシミュレーションを実施するメリットや事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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1Dシミュレーションとは
1Dシミュレーションとは、対象となる挙動を物理モデルを用いてシミュレーションする手法のことです。たとえば電気系を対象とする場合は電流や電圧、油圧系なら圧力や流量などが変数となります。
なお、1DのDはDimension(次元)のことですが、線で示される1次元を指しているのではありません。3D(3次元)空間にある形状ではなく、機能や性能といった形のないものでシミュレーションする意味で1Dと呼ばれています。物事の本質に注目し、見通しのよい方法でシンプルに表現することも1Dと呼ばれる理由です。
1Dシミュレーションと1DCAEの違い
1Dシミュレーションのことを「1DCAE」と表記していることがあります。1DCAEが1Dシミュレーションを指すこともありますが、常に同じ意味ではない点に注意が必要です。
そもそもCAE(Computer-Aided Engineering)とは、コンピュータを活用した工学支援システムを指します。CAEを利用すると、工学的な問題に対して、実験やプロトタイプの作成などをせずにコンピュータ上のシミュレーションで対応できます。また、超高温下や真空状態などの実験が困難なシチュエーションを想定しているときにも、CAEならばシミュレーションが可能です。
1DCAEでは、製品設計をおこなう前に機能をベースとして製品全体を表現します。事前に評価解析が可能な状態として制作するため、製品開発の上流段階で適正な設計も可能になります。
一方、1Dシミュレーションでは、シミュレーションから特定の製品の具現化までの工程は含まれないことが一般的です。そのため、1DCAEのほうがより広い範囲を示す概念といえます。
また、CAEではなく1Dシミュレーションを示すために、「1D-CAE」と区別して記載することもあります。どのような表記方法をするかは執筆者に寄っても異なるため、文脈により的確にCAEとシミュレーションを見分けることが必要です。
1Dシミュレーションの種類
1Dシミュレーションの種類は、次のカテゴリに分類できます。
それぞれのカテゴリに含まれるシミュレーションの種類について説明します。
挙動
挙動とは、システムあるいは製品の一部において予想される動きをシミュレーションすることです。ただし製品における挙動をシミュレーションするときは、3次元としての挙動を考慮せずに動きを予想することは難しいため、3Dシミュレーションも同時に実施し、実現可能な製品として設計する必要があります。
実際のところ、挙動のシミュレーションには数多くの実験が欠かせません。特定の動きや効果に注目して1Dシミュレーションをしておくことで、3Dシミュレーションの回数を削減でき、設計までの時間短縮とコスト削減が実現しやすくなります。
流体
流体とは、空気や液体についてシミュレーションをすることです。流体の動きはシンプルな方程式として表現しやすいため、1Dシミュレーションに適した対象といえます。
また存在はするけれども実験室的に再現することが難しい、真空や超高温などのシチュエーションも、1Dシミュレーションの手法を活用すれば、計算式からのシミュレーションが可能になります。
物理的な振る舞い
物理的な振る舞いとは、磁場や電場などを指します。想定される磁場・電場を準備して実験をするときは、環境を調整するための設備や大がかりな実験装置が必要です。1Dシミュレーションであれば計算式によるシミュレーションが可能で、実験室なしに多くの状況下での結果を予測できます。
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1Dシミュレーションのメリット
1Dシミュレーションを利用することには、次のメリットがあります。
それぞれのメリットについて説明します。
開発初期における仕様設計の精度向上
1Dシミュレーションでは、システム自体のシミュレーションだけでなく、複数のシステムを統合したときの動作もシミュレーションします。設計段階で統合時のシミュレーションをおこなっているため、設計の精度も向上します。
たとえば従来のシミュレーションでは、簡易的な数式を用いて手計算をおこなうため、システムの機能やシステム統合後の動作についての理解が難しいことも少なくありません。1Dシミュレーションにより、機能に注目してシミュレーションを実施すると、統合時の動作を可視化でき、精度の高い仕様に仕上げることが可能です。
検証実験の回数を削減
1Dシミュレーションでは、機能や効果に注目してシミュレーションを実行しているため、実験前に現実的なケースをピックアップしておくことが可能になります。
たとえば回転体の振動抑制対策を実施する場合、想定されるケースをすべて実機で検証するのは時間がかかり、コストもかさみます。1Dシミュレーションにより机上で振動抑制対策の効果を検証すれば、短時間で多くのケースをモデリングできるだけでなく、実機による検証の回数を削減でき、コストを抑えることが可能です。
設計作業のスピード向上
高精度の仕様設計と検証実験回数の削減により、設計にかかる時間を大幅に削減できます。ユーザーニーズへの迅速な対応が可能になり、より必要とされるシステムの開発を実現できます。
新たな価値の創造
1Dシミュレーションは、設計上流段階から適用可能です。従来とは異なる視点でのシミュレーションが可能になり、新たな価値の創造につながることもあります。
また、上流段階からシミュレーションを開始することで、設計の問題点を早期発見しやすくなることもメリットです。設計の質が向上するだけでなく、システム全体を見通した全体の適正化も実現可能になります。
システム全体の可視化
1Dシミュレーションでは、特定のパーツや工程に注目するのではなく、機能や効果といったシステム全体を横断する要素に注目してシミュレーションを実施します。システムの抜け漏れを回避でき、より高品質の製品・システムの設計が可能になります。
また、システム全体の可視化だけでなく、制御機能などの特定の機能に注目したシステムの可視化も可能です。特定の機能に注目することで、製品完成後の弱点を早期に発見でき、対策を講じられるようになります。
ただし、システム全体を横断したシミュレーションを実施するには、エンジニアが広範囲の知識・スキルを有していることが条件となる点に注意が必要です。対応するエンジニアがいない場合には、1Dシミュレーションの持つメリットが活かされず、期待するような効果を得られない可能性もあります。
より深い検討・シミュレーションの実行が可能
1Dシミュレーションではシンプルな要素にのみ注目してシミュレーションを実施するため、コンピュータにかける負荷が少なくなります。短時間で検証結果を出せるため、何度もシミュレーションを繰り返し、より深い検討をおこなうことも可能です。
また、1Dシミュレーションでは、方程式を用いてシミュレーションをおこないます。電気や流体、熱といった方程式で表現できる分野の分析を得意としているため、複数の現象を多面的に分析し、より現実的な設計に仕上げられます。
活用事例
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質問集
- 1Dシミュレーションとは何ですか?
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1Dシミュレーションとは、物理系モデルや1D-CAEとも言われます。比較的単純な方法で磁場・電場、各部品・車体の挙動、空気・液体といった流体などの物理的な振る舞いを再現するシミュレーションのことです。
- 1Dシミュレーションの具体例はありますか?
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電気自動車のシミュレーション(制御・電気・機械系の振る舞いをシミュレーション)、パワエレ装置の設計(電力損失や熱を考慮した制御方法の効果をシミュレーション)、回転体の振動抑制などです。
- 1Dシミュレーションの必要性は何ですか?
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仮想環境でモノを動かし、システム設計の要求仕様やシステムの機能、性能に明確な根拠やあたりを付けることが可能です。いちいち試作をして実稼働させるよりも時間的にもコスト的にもメリットがあります。
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1Dシミュレーション メーカー商品一覧
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